キッチンを作るにあたり…
(料理人の想いを形に…)
龍吟のキッチン(裏舞台)だけで255㎡(77坪)を誇るスペースです。
最高の設備が整った、とても広々とした贅沢な空間。
食事中、お客様が見る事が出来ないのが、ちょっと残念…。
私達、料理人にとっては、ここが人生のステージであり、料理観を養う神聖な修行の場。
でも龍吟のそれは、とても快適に上を目指す空間なのです。
快適とはストレスになるであろう事を予測し、回避した佇まいの事…。
シェフ山本が、移転前の六本木時代から悩み、オーナーシェフとして自分の体験に基づき改善に務めた一例を、まずは羅列してみました。
キッチンあるある…?
- ・思うように物を広げるスペースがなく、常にミニマムな仕事になりがち…。
- ・夏は暑く、冬は寒く、キッチンの室温が一定せず、食材の温度管理も、出来上がった皿の上の温度管理も理想通りにならない。
- ・熱源の数が少なく、また急冷する為のブラストチラー装置がない。
- ・器を温める設備が不十分だったり、盛り付け場所の上部にヒートランプがない。
- ・人と人が作業スペースを取り合ったり、調理器具を取り合ったり、作業導線が混み合ったり、物を持ってすれ違う事がストレスで、自分の世界観と意識を一つのセクションで、思い切り集中して突き詰めながら、セクションシェフとしてのプレゼンをする事が出来ない。
- ・キッチンツールや器を収納するスペースがむき出しで、終業後、何も出ていない新品のキッチンであるかのような美しい片付けが出来ない。
- ・賄いを食べるスペースと、客席を混同し何か嫌だ。
- ・魚の鱗を取ったり内臓の処理、ジビエを衛生的に扱う事をメインキッチンを使わずに衛生的に行う下処理部屋が区分されていない。
- ・淡水魚、並びに海水魚を活かしたり、独自の活け〆を施す為に必要な水槽設備がない。
- ・大量のカラスミを仕込んだり、バチコや干物などの温度管理を伴う乾燥プロセスが必要な作業。並びにジビエの表面や水洗いした魚の皮目に風を当ててパリッと乾燥させるウォークイン冷蔵庫(チャンバーシステム)がない。
- ・賄いを作る時に仕込みをしている熱源とスペースが重なり、思うように賄いが作れない。
- ・備長炭、料理用に取り寄せる水のタンク、キッチンペーパー、ラップ、ホイル、真空パック用の袋、ゴミ袋、ゴム手袋、化粧室のアメニティ、リネン類、サニタリー用品、制服、プリンターや紙の保管、ゲストの荷物を預かるスペースなどが不足していて不便だ。
- ・まな板を衛生的に収納し、それを常に殺菌しながら管理する殺菌庫が設置されていない。
- ・デザートやお菓子を作る為の小道具が足りていない。
- ・煮物を管理し、出汁の色が見えるスケルトンの容器が足りてない。食材に応じてステンレス、ガラス、アクリル、ポリカーボネート等の用途別保管容器が充分に用意されていない。
- ・コンベクションオーブンをセクションごとに使い分ける事が出来ない。
- ・頻繁に使う物だけをレギュラー器具としてキッチンに装備する為、特別な時以外に使わない物を収納するバックヤードがない。
- ・デスクワークをする為のパソコン部屋が用意されていない。
- ・図書を管理するスペースがない。
- ・店内において、ゲストと共有する事なく、スタッフ用として設置された男女別トイレがない。
- ・スタッフ用駐輪スペースがない。
このような不便をさせたくないという想いで、龍吟の料理を共に表現してくれているスタッフには、シェフ山本がコツコツと手造りで整えた快適さを『働く環境』として、入社の瞬間から最初に渡すプレゼントとしております。